朗読会のご報告

5月 19th, 2012

5月6日(日)に発生した竜巻によって亡くなられた方に、

心よりお悔やみ申し上げます。

また、竜巻と雹の被害を受けられて、今も不自由な生活をなさって

おられるたくさんの方に、心よりお見舞い申し上げます。

 

こんにちは。学芸員Wです。

先週末に起こった竜巻は、本当に驚きましたね。

特に被害の大きかったつくば市北条地区と、予科練平和記念館は、

直線距離にして20㎞ほどしか離れていません。

こちらでも雨風は強かったのですが、まさか竜巻が発生しているとは

思いませんでした。

 

ここ何年も、「異常気象」という言葉が繰り返されていますが、

もしかしたら、地球規模で何かしらの大きな変化が起きているのかも、と

思ってしまいます。

 

いつ何があってもおかしくないと思うと、逆に今の大切さが見えてくるように思います。

あとどれくらい残っているのかわからない私の命の時間ですが、

せっかく使うのなら、誰かのためになる有意義なものにしたいと思っています。

 

 

 

さて、今日は、先週末におこなった朗読会のご報告をしたいと思います。

 

5月12日(土)13:30から、予科練平和記念館のラウンジで、

大人のための朗読会を開催しました。

 

 

読み手は、元茨城放送のアナウンサーで、現在は阿見町の観光大使をなさっている

藤田加奈子さんです。

この日は、戦争と平和を考える6つのショートストーリーを朗読してくださいました。

 

 

『ちいさなへいたい』 パウル・ヴェルレプト作

『ニワトリおばけ』『瀬戸内の鬼』『忠さんと制服』『選手になれ』西澤 實作

西澤さんは、藤田さんの恩師だそうです。

最後に、童話作家小川未明の『野ばら』。

 

人の優しさ、それゆえの悲しさ、戦争の理不尽さなど、それぞれの物語に力があって、

ストーリーの構成もとてもすばらしかったのですが、

なにより、藤田さんの豊かに響く声が、お聞きになっている方の心を

ぐぅっと深いところへ引き込んでいくのがわかりました。

 

ただ読むだけでは見過ごしてしまうような、登場人物の小さな心の動きまでもが

藤田さんの声で鮮やかに再生されていくような感じです。

1時間という時間のなかで、様々な人生を体験したような、

深く感動する映画を観たようなカタルシスを感じることができます。

 

語りに静かに耳を傾ける。

平和であるからこそ持てる時間ですね。

 

大人のための朗読会、次回は来年2月16日(土)です。

皆さんもどうぞ、昼下がりのひとときに豊かな時間をご体験くださいね。

 

 

 

さて、現在、予科練平和記念館では、第5回所蔵資料展

「兄を追って」展を開催しています。

辻兄弟、甘道(かんどう)兄弟という、戦死してしまった予科練生をお兄さんに持つ

二組の兄弟の資料を展示しています。

今回、所蔵資料展で展示している資料の半数は、阿見町在住の

辻 猛さんより寄贈していただいたものです。

 

この度、NHK水戸放送局のニュース番組内で、

辻さんのレポートを放送していただけることになりました。

 

辻さんのお兄さんは乙種第14期予科練生でした。

地元徳島では有名な秀才でしたが、経済的な理由で進学せず、1939(昭和14)年に

予科練に入隊しました。

予科練卒業後、飛行練習生を経て間もなく、アメリカ軍の潜水艦が日本の

領海内に入ったため偵察に出撃、そのまま行方不明になってしまいました。

5日後、静岡県御前崎沖で、片足のない遺体で発見された辻さんのお兄さんは、

まだ二十歳の若さでした。

 

辻 猛さんは、昭和40年代に、予科練があったという縁で阿見町を終のすみかと

定められ、大切に保管なさっておられたお兄さんの小学校時代からの遺品は、

町に寄贈してくださいました。

資料は今、予科練平和記念館の各展示室に展示されています。

 

今回、NHKさんは3日間に渡り辻さんを撮影されました。

 

撮影の様子です。

 

 

結城市から中学生が来てくださいました。

 

 

 

辻さん、長時間の撮影本当にお疲れ様でした。

NHKさんも丁寧に取材してくださり、ありがとうございました。

 

放送は5月22日(火)18:10~19:00の「ニュースワイド茨城」内です。

茨城県の県域放送のため、場所によっては受信できないこともあるようです。

もしご覧いただける環境にいらしたときには、ぜひご覧くださいね。