舞い上がる希望

5月 11th, 2012

 好季節を迎えました。

 梅も桜も平年からは一週間ほど遅れた今年の花暦ですが、つつじも例外ではないようで、記念館隣の児童公園には昨年ほどの華麗さが未だ見られません。

 しかし、霞ヶ浦を渡ってくる風は実に心地よい涼風です。再びこの季節に巡り会えた喜びを感じます。

 

 そのような朝をいっそう爽快にしてくれる仲間が記念館に住んでいます。

 私が気付いたのは3月頃からでしたが、それは一生懸命に羽ばたきながら、のどかにして力強い鳴き声を四方に届かせる鳥です。もうお分かりでしょう、雲雀(ひばり)がこの記念館の仲間に加わっています。

 ひばりは、どうも晴れた日にしか鳴かないような気がしていますが、あの絶え間ない可愛らしい声が聞こえてくると、思わず声の主を探します。一生懸命に羽ばたくその向こうには蒼空が広がっているもので、1日の始まりとしてこれ以上ない音楽と景色を授けてくれる小鳥です。

 観察していると、上昇するときばかりでなく下降しているときも鳴いています。地面まであと数メートルに迫ったときフッと声を収めて地面に降り立ちます。

 声のありかで空の高さを感じさせるとは愉快な存在ですが、この「春の天使」は鳴いて縄張りを主張しているとのことです。しかし、生存活動のために声が上っても下っても「希望」をその音楽から感じるのは私だけではないようです。

 ひばりは茨城の県鳥に選ばれており、また県の広報誌の名称にも使われています。茨城県のホームページを参照すると「…その歌うさまはのどかな中にも希望を沸かせる力強さがあり、本県の豊かな自然環境や農村環境に調和し、親しまれている鳥である…」その通りだと私は賛同します。

 

 私が子どもの頃、県西の農村地帯に住んでいた祖母の畑で、よく草むしりを手伝わせられました。手伝わせられました、のことば通り、子どもの私は全く消極的な態度で畑にいたのですが、思い出すその場面には必ずひばりの音楽があり、青い空があり、そして「真面目にやれ」と怒られている声があり、たいへん懐しいものです。ひばりの声を聞きながら畑に座り家族でおむすびを食べていた思い出も、当記念館の仲間に蘇らせてもらいました。

 カルガモは親子で同じ場所に子どもを生み育てるようですが、ひばりの生態はどうなのでしょう、私にはよく分かりません。

 しかし、大空に憧れた予科練生がここ阿見に集っていたとき、今、元気な姿を見せてくれているひばりのご先祖もやはりこの地に生きていたような気がするのです。もしそうなら、予科練生が目で追った青空と私が目にする空とがやはりつながっている、そのような郷愁に誘われます。