区切りの日

3月 31st, 2010

みなさんこんにちは(^_^)

3月31日、区切りの日をいかがお過ごしでしょうか。

明日から新しい年度が始まり、生活に変化がある方もいらっしゃるかもしれませんね。

予科練平和記念館からも、これまで中心となって業務を進めてきた

職員が異動することになりました。

これまで、記念館開館までの道なき道を切り開いてきた人でした。

仕事とはどのようにするものなのかを教えてくれました。

不肖の部下でしたが、本当にお世話になりました。

新しい部署でも指導力を発揮し、町民の方に慕われる職員となられますよう、

かげながら応援しています。


さて、話はかわりますが、みなさんは「近代化遺産」という言葉を

お聞きになったことがあるでしょうか。

ここ数年様々なところで研究が進んでいる分野なのですが、「近代化遺産」とは、

幕末から第二次世界大戦期までに建設されて、日本の近代化に貢献した建造物などを

いいます。茨城県でも2005~2006年に県内近代化遺産の総合調査が行なわれており、

日本の近代史を知る上で貴重な資料、財産として保存すべきという声も

大きくなってきています。


海軍の町だった阿見にも、まだ軍施設の名残が残っているところがあります。

そのうちの4件が、近代化遺産に該当するものとして、3月15日に町指定文化財に登録されました。


霞ヶ浦海軍航空隊本部地区だった場所、現在の茨城大学農学部内に保存されている

国旗掲揚塔、方位盤、庁舎内の階段につけられていた親柱の3点と、

飛行場にあった有蓋掩体壕(えんたいごう:戦闘機などを攻撃から

守るための格納庫)1基の合計4点です。


国旗掲揚塔


方位盤


階段の親柱(霞光荘の中にあります)


国旗掲揚塔と方位盤は茨城大学農学部構内にあり、自由に見ることができます。

農学部前の通りの桜も、少しずつ咲いてきました。

これからしばらくは、美しい桜並木を楽しむことができます。

お時間がある方は、ぜひ足を伸ばして「東洋一」と呼ばれた航空隊の名残を

見てみてください。


※ 掩体壕は個人のお宅の中にありますので、通常ご覧いただくことはできません。


足元にも、空にも

3月 22nd, 2010

みなさんこんにちは♪

この連休はいかがお過ごしでしょうか。

三連休の最終日、阿見町はとてもいいお天気です☆

冷たい風が吹いていますが、館内で日の入るところは

ぽかぽかとしています。

春休みに入ったからでしょうか、小中高生のお子さんを連れたご家族が増えてきました。

ベビーカーを押した若いご夫婦もちらほら見受けられます。


さて、予科練平和記念館の周りには芝生が張ってありますが、冬に移植したため

これまでは茶色一色で少し寂しい感じがしていました。

でも、3月に入った頃から、冬眠しているような茶色の芝の中から

少しずつ緑の若芽が顔を出してきました。



下はスズメノカタビラでしょうか、芝生に先んじて元気にのびています。



足元にも確実に春がやってきているのですね。

周りの芝生はまだ茶色と緑のまだら模様ですが、

もう少ししたら鮮やかなグリーンのふかふかした絨毯に

なることでしょう。今からとても楽しみです。


記念館は窓が多いため、館内にいても外の自然を感じることができます。

窓から空を見上げたら、たんぽぽの綿毛のような雲が

ふわふわと流れていました。



空にも春が来たようです。


巣立ちの前に

3月 16th, 2010

みなさんこんにちは(^_^)

今日の阿見町はくもり空。

灰色の雲がゆっくりと流れていました。

でも、雲とはうらはらに一部のスタッフには緊張感が

ただよっていました。

なぜなら、今日は初めて小学校の生徒さんに

展示の解説をするからです。

今までたくさんの方をご案内してきたベテランの解説員さんも

どうしたら小学生に分かりやすく伝えることができるのだろう?と

ちょっと試案顔。

実は、先週から学校で使われている教科書を

読んだりして勉強をしてきましたが、

いざ自分の言葉で伝えようと思うと、やはり難しいところが

たくさんあるのです。

午前中は案内の打ち合わせとリハーサルをして意見交換。

これから中学生になる生徒さんたちにエールを送れたら

いいねという話になりました。


そして、午後から阿見町内の小学校6年生109名がいらっしゃいました。

卒業を控えた6年生たちは、巣立ちを待っている小鳥のような感じです。

最初にホールで元予科練習生のお話を聞きます。



みんな静かに聞いてくれました。

そのあと、クラスごとに展示を見学しました。

下の写真は、予科練習生の手紙を読むことができるお部屋です。

お部屋に入ったとたん、生徒さんたちは箱の形をした

展示ケースにわーっと集まりました。

中には予科練習生が家族に宛てた手紙が展示されています。

 

 

空襲の映像が流れるお部屋では、機銃掃射をする艦載機や

爆弾を落とすB-29のCGを見てびっくりする生徒さんもいらっしゃいました。

自分たちの住んでいる町にもいろんな歴史があるんだ、ということを感じてくださったようです。


中学校に進学すると、小学校とはまた違う楽しいことや大変なことがたくさんあると思います。

悩みながら、楽しみながら、いろんな経験を積んで少しずつ大人になっていくのでしょうね。


予科練平和記念館は阿見町内の中学生も無料ですので、またぜひいらしてください。

成長するたびに視野が広がる自分を感じることができると思います。

また、悩み事の迷路に入ってしまったようなときにも、もしかしたら

何か答えを見つけることができるかもしれません。


皆さんが素敵な中学生活を送れますよう、スタッフも応援しています。

 

 

 

ランキング

3月 11th, 2010

みなさんこんにちは。

今日の阿見町は久しぶりにすっきりと晴れあがってきれいな青空でした。

茨城空港も本日開港とのことで、今朝何気なく空を見上げたら

白い鳥が2羽、きれいに並んで飛んでいました。

鳥のご先祖様は、どうして飛ぶことを選んだのでしょうか。

何かの偶然だったのか、それとも必然だったのか。

飛行機を開発した人間もすごいですが、自分の体ひとつで未知の空にむかって行った

鳥のご先祖様もすごいなぁと思います。


前述の茨城空港からは神戸や韓国への便が出ているそうなので、

皆さんも是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。


さて、今日は予科練平和記念館の中にある売店をご紹介します。

阿見町商工会が運営しているこの売店では、いろんなお土産を扱っています。

それでは、突然ですが予科練平和記念館売店の売り上げランキング発表です!

↓↓

第3位 「土浦ツェッペリンカレー デラックス」 500円!

第2位 ボールペン 150円!



カレーは具だくさんで、霞ヶ浦周辺の名産でもあるれんこんが入っています。

スタンダード(350円)もありますが、やはりデラックスはデラックスなりの美味しさのようです。

ボールペンは5色あり、館の名前が入っているので、ちょっとしたお土産にと

お求めになるお客様も多いようです。


そして第1位は・・・

「予科練の街クッキー」 12枚入り 1200円!!



阿見町の特産であるヤーコンは、アンデス原産でサツマイモに似た形をしています。

通常の食事ではなかなか摂れないフラクトオリゴ糖が豊富に含まれており、

低カロリーで整腸作用があるそうです。

このクッキーにも、粉末状にしたヤーコンが入っています。

おいしくて健康にもいいお土産なんて嬉しいですよね。

さくさくとして食べ応えのあるクッキーは、予科練平和記念館のスタッフにも大好評です☆


売店はラウンジとともにチケットがなくてもご利用いただけますので、

ぜひのぞいてみてくださいね。

お土産に迷ったら、売店スタッフまでお気軽にお声をおかけください。

商品のことだけではなく、予科練や歴史に関する勉強も怠らない頑張り屋さんのスタッフが

皆さんをお待ちしています。



※お土産等の通信販売は承っておりません。


晴耕雨読

3月 6th, 2010

みなさんこんにちは(^^)

今日の阿見町はくもり空。雨も降って寒い一日です。


せっかくのお休みだけどお出かけするのは寒いし、掃除や洗濯をしても晴れの日よりはかどらない。

こんな日には、読書などいかがでしょう。

予科練平和記念館のラウンジは白を基調としたシンプルな空間で、備え付けの本は

ご自由にご覧いただけます。予科練や昭和史に関する本のほか、お子様向けの絵本もおいています。



今日は、ちいさな女の子がお母さんと一緒に紙芝居を見ていました。



ピンクと水色の服を着た女の子が、真っ白いラウンジに咲いた春の花のようで、

とてもかわいらしかったので、お願いして写真を撮らせていただきました。

お母さんが見せるぞうさんの絵を、女の子は一生懸命見ています。


お手元にあるのは、『かわいそうなぞう』という紙芝居です。

戦時中の動物園でのかなしいお話ですが、どうぶつたちの命をとおして、

戦争は絶対にいけないことだと教えてくれます。


本は心の栄養だといいます。こどもの頃にいろんなお話を聞くと、

想像力が豊かになって、人の痛みがわかる人になるのだそうです。


たくさん本を読んで、すてきな女の子になってくださいね☆


開館1ヶ月目のプレゼント

3月 3rd, 2010

みなさんこんにちは(^^)

今日はお天気も良くてひなまつり日和ですね☆

予科練平和記念館は、昨日無事に開館1ヶ月目を迎えました!

たくさんの方々に支えられていることを実感する毎日です。

まだまだいたらないところがたくさんありますが、逐次改善していきたいと思いますので、

どうぞ長い目でご支援いただければ幸いです。


さて、昨日はとても嬉しいことがありました。

ちょっと長くなりますが、順を追ってお話します。

当館では、写真家・土門拳が予科練習生を撮影した写真を展示しておりますが、

実はこの写真、土門の自選作品集にも収録されていない幻の写真なのです。


この写真の現物をお持ちだったのが、甲種第13期予科練習生として

土浦海軍航空隊(今の陸上自衛隊武器学校)に入隊した大塚嘉孝さん。

旧制土浦中学に通い、成績優秀で人望の厚い少年でした。


予科練時代、彼がいた分隊のもとへ、写真家・土門拳が海軍省から

派遣されてやってきます。

1944(昭和19)年6月のことです。

土門はおよそ2ヶ月間隊内に寝泊りをしながら、膨大な量の写真を撮影していきました。


大塚さんたちが卒業後、その一部を焼き増ししたものが被写体となった練習生に配られます。

戦局がおしせまり、大塚さんたち13期生は各地で様々な兵器による特攻訓練に明け暮れ、

また出撃していきました。

そして1945(昭和20)年8月9日。

長崎に原子爆弾が投下された日。

福島県にあった郡山海軍航空隊で訓練をしていた大塚さんを、米軍の機銃掃射が襲います。

弾の破片が左足を2ヶ所貫通。防空壕に運ばれた大塚さんは、

麻酔もかけずに足から破片を取り出され、そのまま終戦まで過ごしたそうです。


しばらく入院していた大塚さんが郡山空に戻ってくると、部屋の隅に自分の荷物を入れていた

衣のう(キャンバス地で作られた衣類などを入れる袋)がぽつんと残されていました。

中を見ると、衣類とともに焼き増ししてもらった土門の写真が入っていました。


ほかの練習生の手に渡った写真は、戦後焼かれてしまいました。

機密保持のためとも、飛行兵に関する様々なうわさがあったからとも言われています。

土門の自宅にあった大量の写真も、戦後処分されてしまったようです。

そのため、大塚さんが持っている写真は、ほとんど唯一無二と言ってもいいものになりました。


当館では、大塚さんの奥様にご協力いただいて、このとき残った写真のうちの28枚を

大きくひきのばして展示しています。

大塚さんは既に鬼籍に入られ、今は奥様が大切に保管なさっておられます。


そして昨日、大塚さんの奥様が娘さんとともにいらっしゃいました。

奥様が、土門の写真が象徴的に配されているゾーンに足を踏み入れた途端。


「お父さん!」


視線の先には、予科練習生たちが一心に風洞を見つめている写真がありました。



この、箱のような枠の中にいる5人の練習生のうち、右から2番目が

大塚嘉孝さんだったのです。


「お父さんに会えた!」


奥様はしばらく写真を見つめていらっしゃいました。


我々スタッフも、ここに写っているのが大塚さんだとは知りませんでした。


実は、大塚さんと奥様は幼なじみで、大塚さんが予科練に入隊したとき、

奥様は土浦海軍航空隊の適性部というところで働いていたのだそうです。

大塚さんが特攻隊になったとき、軍の機密で誰にも言えなかったそのことを

奥様にだけは告げていました。

戦後、結婚して長く一緒に暮らし、天命によって別れ、

またこうしてかつての若い姿で奥様と再会する。

縁というものがあるのなら、きっとこういう形をしているのだろうと思いました。


展示を見終えてお帰りになるとき、奥様のお顔はとても晴れやかでした。


我々スタッフも、本当に嬉しい気持ちでいっぱいでした。

開館1ヶ月目の記念日に、最高のプレゼントになりました。


大塚様、寒い中ご来館くださいましてありがとうございました。

笑顔が変わらず素敵ですね。どうぞいつまでもお元気で。