全力おさんぽ

12月 12th, 2012

みなさんこんにちは。

今日は2012年12月12日です。

12が並んでいます。

だからどうした、ということもありませんが、

あとにも先にも今日は今日だけなんだな、ということが目に見えてわかる気がします。

 

そういえば、今日をいれるとあと20日で新しい年になるんだ!と突然自覚して、

なんだかうろたえた学芸員Wです。

 

目前のクリスマスの雰囲気にのまれてうっかりしているうちに24日が過ぎて、

いきなりやってくる年越しムードにあわてる自分が目に見えるようです。

意外とやらなくてはならないことが多くて忙しいこの時期、

みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

 

 

前回は「ナイトミュージアム!」の様子をお知らせしましたが、

今日はその1週間前に行った、お子さま対象のよみきかせ

「おはなしおさんぽの会&昔のあそびをやってみよう!の会」の

様子をお伝えしたいと思います。

今回4回目を迎えるおさんぽの会には、0才から10才ぐらいまでの

かわいいお客さまがたくさんきてくださいます。

 

 

 

 

読んだのはこの4冊です。

 

『お月さまってどんなあじ?』 マイケル・グレイニエツ作

昔話『ねずみのすもう』 いもとようこ作

『ちいさなへいたい』 パウル・ヴェルレプト作

大型絵本『おおきなかぶ』 A・トルストイ作

 

どの絵本も、いっしょうけんめい聞いてくれました。

 

絵本を楽しんだあとは、みんなで遊びます。

今回は秋のスタンプラリーです。

記念館のまわりと、お隣の公園にかくされた7つのスタンプを探しにいきます。

 

 

 

こんなふうに置いてあります。

スタンプは、予科練生の七つボタンにちなんで7つにしてみました。

 

どこにあるかな?

 

 

力いっぱいインクをつけています。

実は、スタンプは全部野菜でできています。

ここ⑥はオクラ。

切り口が星のような花のようなで、とてもかわいいです。

 

 

 

②はジャガイモです。

ほかにサツマイモ、にんじんなどがあって、どんぐりやイチョウ、桜などが押せる

特製の秋のスタンプになっています。

 

とっても手が込んでいますね!とお褒めをいただきましたこのスタンプ、

よみきかせをしてくれた展示解説員Mさんの力作です。

 

 

 

 

私Wは公園でみなさんの様子を見ていたのですが、

スタンプ用紙を持った子どもさんが、「全部押せた!」「ここわかんない!」「あっちにあった!」と言って

子犬のように全速力でかけまわっていました。

全部押したスタンプ用紙を見せてくれたり、どこにスタンプがあったかを教えてくれたり、

全力で楽しんでくれていました。

 

スタンプが全部集まったら、記念館に戻って、かわいいイラストがついた色画用紙を

スタンプラリーの用紙に貼り付けます。

あらかじめどちらにも毛糸の取っ手がついているので、

貼り付けるとトートバッグになります。

このバッグに折り紙で作ったきのことどんぐりを入れて終了です。

 

今回のおさんぽの会も、とても好評でした。

次回は年が明けて3月23日(土)を予定しています。

きっと春の予感でうきうきしている頃でしょう。

ちいさなお子がいらっしゃるみなさん、おさんぽがてら記念館にも

どうぞ足を運んでみてくださいね。

 

 

さて、先日、歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが旅立たれました。

勘三郎さんと、勘三郎さんが心血を注いだ平成中村座は、私Wの人生に

大きな影響を与えてくれた大恩人だと勝手に思っておりまして、大きなショックを受けております。

 

笑顔を忘れそうになったときに見た中村座でのお芝居の帰り道、

ライトアップされたスカイツリーがあまりにもきれいだったのを思い出します。

 

平成中村座は、江戸時代の芝居小屋の雰囲気を再現した仮設の劇場で、

浅草の観音様の先、隅田川沿いに立ちます。

勘三郎さんは、この平成中村座をニューヨークまでもって行って、英語でせりふをしゃべったり、

ニューヨーク市警が出てきたりする演出で観客をわかせました。

400年以上も前のものが現代のアメリカでウケるというのは、考えてみるとすごいことです。

 

歌舞伎を若い世代の人たちに見てほしい、と、渋谷・Bunkamuraのシアターコクーンで、

現代の演出家を迎えて斬新な表現方法や解釈で生みなおした歌舞伎「コクーン歌舞伎」も、

毎回チケットがなかなか取れない大人気の舞台でした。

歌舞伎座や新橋演舞場とは違って、若い世代の方たちがたくさん見にきていて、

通常の歌舞伎にはないカーテンコールもあって、刺激的でおもしろくて、すばらしいものでした。

 

勘三郎さんは、歌舞伎は展示ケースに閉じ込めてありがたがって見るものではなく、

今をライブで生きている人たちが作りあげるエキサイティングな舞台なんだということを

身をもって示してくださったように思います。

それは、歌舞伎400年の伝統を全身で受け継ぎ、大切にしているからこそできることで、

型があるから型破りができる、というのは、勘三郎さんがおっしゃっていたことです。

 

公私ともに誰からも愛された勘三郎さん。

ファン一人ひとりを大切にしてくださった勘三郎さん。

来年4月に新しい歌舞伎座のこけら落としをひかえていたし、

お孫さんも生まれて、これからますます充実して

円熟した芸を見せてくださっただろうと思うと、残念でなりません。

公共の場をお借りしてこのように申し上げるのもどうかとは思いましたが、

みなさまどうぞお許し下さい。

 

たくさんの感動とすばらしい舞台を残してくださったことに

感謝申し上げ、ちっぽけな一ファンですが、

ご冥福を心からお祈り申し上げます。