月夜のお知らせ 追加

9月 26th, 2012

みなさんこんにちは。

秋が深まり、さっそくフリースのお世話になりだした学芸員Wです。

ここ何日か、寒いと言ってしまいそうになるほど急に涼しくなりましたね。

急激な気温の変化で風邪をひいたりしていませんか?

あたたかいものがおいしく感じられるようになりましたので、

身体をあたためて、栄養をとって、今日も笑顔でいられるといいですね。

 

先日、家の近くの某ショッピングモールにて、

フラガールさんたちが踊っているのを拝見しました。

彼女たちのいる福島県いわき市は、震災の影響を大きく受けたところです。

震災後、激減してしまった観光客を呼び戻すために、

各地へ広報活動にでかけるフラガールさんたちを追ったドキュメントを拝見して、

それぞれ悩みを抱えながらも頑張っていらっしゃる姿に胸打たれました。

なんだかそういうことを思い出してぐっときてしまったのですが、

最後に映画「フラガール」の主題歌で踊っていらっしゃる姿を見て涙腺が崩壊しました。 

 

ハワイ出身日系5世のミュージシャン、ジェイク・シマブクロさん作曲のこの主題歌、

私Wも大好きで、辛いときにはよく聴いています。

 

星の見えない夜には 夢見るのさ 目を閉じて

名もないような花が 命をふるわせて 咲いている

 

という歌詞があるのですが、まさにフラガールさんたちをあらわしているようで

心動かされますし、とても美しい生き方だなと思います。

同時に、ちっぽけな自分は咲けているだろうか、といつも考えます。

 

 

さて、前回私Wが更新したブログでもお知らせいたしましたが、

今週末30日の日曜日に「まい・あみ・月夜」というイベントを開催します。

 

中秋の名月のこの日、竹あかりとキャンドルイルミネーションのもと、

予科練平和記念館でお月見を楽しみませんか?

 

館内では、昭和7(1932)年製の卓上蓄音機でクラシックのレコードを鑑賞したり、

普段はお客様が見ることのない照明を落とした夜の博物館を

ペンライトで探検するツアー「くらやみ博物館」を開催します。

 

今回のレコード鑑賞会では、名月にちなんで、ドビュッシー作曲「月の光」などを

お送りしたいと思っています。

「月の光」といえば、登山家ハインリッヒ・ハラーと、

少年時代のダライ・ラマとの交流を描いた映画「セブンイヤーズインチベット」のなかで、

ダライ・ラマがハラーにプレゼントしたオルゴールの曲が、この「月の光」でした。

ダライ・ラマは、みなさんよくご存知のチベット仏教の最高指導者です。

 

オーストリア出身の登山家ハラーは、第二次世界大戦中、仲間とヒマラヤ登山中に

イギリス軍の捕虜になりますが、脱獄してチベットにたどり着きます。

当時オーストリアはドイツに併合されていたので、イギリスの敵とみなされたのです。

そこで出会った少年ダライ・ラマとの交流は、暗い時代に差した一筋の光のように

ハラーを照らします。

チベットはその後、軍事侵攻してきた中国共産党により独立を失ってしまい、

ハラーとダライ・ラマの運命も大きく変わっていきます。

 

「月の光」のはかなくもやさしげな旋律は、1890(明治23)年、

ドビュッシー28歳のときに作曲されたものです。

若きドビュッシーが抱いた人妻への恋心から生まれたとも言われており、

天才詩人アルチュール・ランボーと破滅的な恋に落ちた詩人、

ポール・ヴェルレーヌの影響を受けているとも言われています。

 

さまざまなドラマを感じさせるこの「月の光」。今回は第一次世界大戦前後に

活躍したピアニスト、パーシー・グレインジャーの演奏でお聴きいただきます。

 

会場は照明をつけず、ソーラーキャンドルライトの明かりのみで、

大きな窓からは外の竹あかりとキャンドルがご覧いただけます。

午後6時からと6時半から、20分ずつ2回公演がありますので、

ご来場の際お時間がございましたら、ふらっとお立ち寄りくださいね。

 

 

昨日は「くらやみ博物館」の準備のため、館内に置いておく

ソーラーキャンドルライトの充電をしました。

光で充電して、暗くなるとろうそくのあかりのような

小さな光がゆらゆらゆれながらあたりを照らしてくれます。

 

ご飯の日光を求めて、台車に乗って館内をうろうろ。

 

 

暗くなってから点けてみました。

・・・正直こわいです。

ひと足お先にハロウィンがきた感じです。

ゆらゆらゆらめく光が、逆にこわさを演出しています。

試しにペンライトを持って歩いてみましたが、一人ということもあって

普段眠りっぱなしの危険を察知するアンテナみたいなもののスイッチが

いっせいにONになったような感覚になりました。

しかも、この暗さで午後6時前です。

「くらやみ博物館」が始まるのは午後7時10分から。

ご参加をご検討中のみなさま、どうぞ心してお越しください。

驚かすことはありませんが、途中でどこかふしぎなところに迷い込まれませんように・・・。

夜の博物館は、学芸員でも知らないことがたくさんあるのです・・・。

 

 

さて、今回の「まい・あみ・月夜」をIBS茨城放送さんが取り上げてくださいました。

9/24(月)、午後の「スマイル・スマイル」という番組の中の

「ここが気になる!」というコーナーで、

パーソナリティの木村さおりさんが紹介してくださいました。

 

木村さんは予科練平和記念館に何度かお越しくださっていて、

以前も同じコーナーで当館をご紹介くださったことがありました。

ご本人はとても気さくな美しい方で、私は最初にお会いした時から大ファンです。

声も優しくて聴きやすいので、番組を楽しみになさっている方も多いのでは、と思います。

当日もぜひご来場いただけたらうれしいです。

 

 IBS茨城放送

http://www.ibs-radio.com/?act=Program&program_no=108

 

 

また、9月26日(水)発行の情報誌「ezpress.」10月号でもご紹介いただいて

おりますので、こちらもぜひご覧ください。

月刊ezpress.

http://ezpress-ideal.com/

 

 

当日は雨天決行です。もし雨が降ってしまったときでもキャンドルは点灯する予定です。

館内イベントは行いますので、ぜひご参加ください。

みなさんのご来場をお待ちしております。

 

 

「まい・あみ・月夜」

9月30日(日)17:30~20:00

予科練平和記念館敷地内 全無料

 

【館外】

竹あかりとキャンドルイルミネーション

琴の生演奏 17:30~・19:00~

お団子とお茶の無料配布(午後5時半から 先着200名様)

 

【館内】

小さなお子様にうさぎのバルーンアートプレゼント 17:30~19:00  エントランスホール

蓄音機で聴くクラシック 18:00~・18:30~ 各回約20分  ラウンジ

くらやみ博物館 19:10~19:50 ※受付にて先着20名様整理券配布  館内展示室

 

※ご注意

館内でのご飲食はご遠慮いただいております。

お車でご来場のお客様は、館前の駐車場をご利用下さい。

満車になりましたら臨時駐車場へご案内させていただくこともございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月夜のお知らせ

9月 14th, 2012

みなさんこんにちは。

まだまだ残暑厳しいですね。

出張で炎天下の東京をうろうろしていたら

熱中症になりかけた学芸員Wです。

日中の暑さが続いていますので、みなさんもどうぞ

ご自愛下さいね。

  

記念館は今日も暑い一日でした。

夏の空のように、もくもくした雲がたくさんでていました。

 

さて、今月30日(日)は中秋の名月で、満月です。

みなさんのお宅でも、お月見をなさいますか?

ともすればお月見団子のほうに気をとられがちですが、私Wも

毎年この季節を楽しみにしています。

 

実は、予科練平和記念館からもとってもきれいな月が見えます。

そこで!今年は阿見町の商工観光課、観光協会とコラボして

中秋の名月にあわせたイベントを開催します。

詳細は館のHPや、再来週、私Wの更新するブログでお知らせしたいと思いますが、

本日は少しだけ、アウトラインをご紹介させていただきます。

 

 お月見のイベント「まい・あみ・月夜」

日時 :9月30日(日) 17:30~20:00

場所 :予科練平和記念館及び館まわりの芝生広場

参加 :無料

 

館の周りでは、竹でつくった「竹あかり」とキャンドルのやわらかな光が

みなさまをお迎えします。

琴の生演奏もあります。

ゆっくりのんびり、夜のお散歩をしながらあかりと名月を楽しみませんか。

 

館内では、1932年製の蓄音機で、昭和のはじめごろに録音された

クラシックのレコードを鑑賞する会や、

普段はお客様が目にすることのない真っ暗闇の夜の記念館を、

ペンライト一つで探検する会を企画しています。

 

当日は先着200名様にお月見団子とお茶を無料でお配りしますので、

こちらもお見逃しなく!

 

 

館のまわりのこことか

 

こことかが、すてきな空間に大変身する予定です。

 

竹あかりは、こんな感じです。

 

かぐや姫のお部屋に置いてありそうですよね。

ほのかなあかりのゆらめきは、人が心地よいと感じる

1/fのゆらぎのリズムなんだそうです。

さらに、ろうそくからはマイナスイオンも放出されているのだとか。

9月30日は予科練平和記念館が癒しの庭になりそうです。

 

 

同じ9月30日(日)には、以前予科練平和記念館で美声を聞かせて

くださった元茨城放送アナウンサーの藤田加奈子さんが、

牛久市のギャラリー牛久(牛久市南2-7-60)で朗読会を開かれます。

当館の売店でも扱っています絵本「ニワトリおばけ」の朗読もありますので、

こちらもぜひチェックしてみてくださいね。

 

  

さらに、同じ9月30日から10月7日(日)まで、土浦駅前のイトーヨーカ堂

土浦店で、熟田鶴江さんの絵の回顧展が行われます。

鶴江さんは、今年7月14日(土)に、講演会「昭和ガールズトーク」で、予科練生との

初恋のお話を聞かせてくださいました。

米寿を過ぎてもなおお若い感性をお持ちの鶴江さんの、初の大規模

回顧展とのことで、とても楽しみです。

お時間がございましたら、皆さんもぜひ足を運んでみてください。

鶴江さんがいらっしゃることもあると思いますので、昔のお話も

聞けるかもしれません。

 

 

芸術の秋、スポーツの秋、読書の秋、旅行の秋・・・。

秋は楽しみが多いだけではなくて、成長する機会もたくさん与えてくれます。

みなさんにとって、実り多いすてきな秋になりますように。

 

 

特別展「回天」へのいざない⑥

9月 14th, 2012

 回天の訓練は国内の4基地で行われました。

◇大津島基地(山口県周南市)

 1944(昭和19)年9月開隊・訓練開始。

◇光基地(山口県光市)

 1944(昭和19)年11月開隊・12月訓練開始。

◇平生基地(山口県熊毛郡平生町)

 1945(昭和20)年3月開隊・4月訓練開始。

◇大神基地(大分県速見郡日出町)

 1945(昭和20)年4月開隊・5月訓練開始。

 回天はこれらの基地から、イ号潜水艦という全長100メートルを超える大型潜水艦(日本の潜水艦は大きさ順にイ、ロ、ハと区別される)などの甲板に2的から6的(回天は○隻ではなく、的〈てき〉と数えた)搭載され外洋に出撃する場合が1つありました。

 また1つは、日本国内の太平洋沿岸に本土防衛のための基地回天隊が設置され、それらの基地から直接出撃する場合がありました。

 今回は、元搭乗員の手記をご紹介し、訓練の様子を知っていただきたいと思います。

小林秀雄氏(故人。大正10〈1921〉年生。大津島、光、平生基地を歴任後、第23突撃隊浦戸基地〈高知県〉にて終戦を迎える)

■訓練はどんなものだったのでしょうか。

 まず、座学による訓練があります。座ってテーブルで指導官の話を聞くわけですね。機械の構造がこうなっている、とか。しかし実際には乗らなきゃ分かりませんから、その兵器の置いてある調整場というんですが、そこへ行って自分なりに勉強するわけです。

 それから観測訓練です。特眼鏡(潜望鏡)で見る訓練、船の形を見て、戦艦だとか巡洋艦だとかを覚えたり、それから船がどのくらいの速さでどっちを向いて走ってくるのか、方位角が何度だとか、そういう観測の訓練がありました。

 地上で実際の兵器を動かしての訓練は私たちの時はできませんでしたから、第1回の搭乗訓練の時は、のっけから自分で動かしました。

 実地の一番最初は航法ですね。ただ簡単なところを回って帰ってくる。次は狭水道通過法といって、非常に狭いところをどうやって通るかということ。それが次には目標艦に突撃する、ぶつかる訓練ということになります。そういうことを何回もやって積み上げていくわけですね。

 一般的にはこの訓練は黎明薄暮やります。朝早くか夕刻暗くなってからですね。従って搭乗員は朝早い人は3時半くらいから起きて準備をして出てゆきます。で、乗った人の研究会というのが夜ありますから、そこで経験者の話を聞くわけです。

■基地での生活を教えてください。

 一般的には朝6時に起きまして、体操をして食事をして、それから普通の課業が始まります。それでだいたい4時くらいまで、一定の課程があります。今日は航海についての話があるとか、水雷の発射について講話があるとかですね。で、4時ごろから課外の授業ということで、主に搭乗員を集めて運動をします。例えば、ラグビーをするとか、棒倒しをするとかですね。

 じゃあ5時以降、夜はどうかというと、自由のときは私は碁を相当やってました。ただ外出はできませんでした。そういう生活でしたね。

 

        (回天記念館図録より抜粋)

 去る8月26日に、やはり回天搭乗員であった塩月昭義様(元甲飛13期生・奈良空。光、大神基地を歴任後、第21突撃隊麦ケ浦基地〈愛媛県〉にて終戦を迎える)を講師にお迎えして講演会を開催しましたが、次回の9月30日には訓練内容の詳細について体験した方ならではのお話をうかがう予定です。

 ご関心のある方はどうぞご来場下さい。

おじいちゃんに聞こう!

9月 1st, 2012

みなさんこんにちは。

現在、水戸芸術館で行われている

「水戸岡鋭治の鉄道デザイン展 駅弁から新幹線まで」を見て、

鉄道の魅力に目覚めそうな学芸員Wです。

 

水戸岡さんは、JR九州新幹線「つばめ」や「ソニック」、特急「ゆふいんの森」などの

デザインを手掛けたことでも知られるデザイナーさんで、

世界最高の鉄道デザイン賞「ブルネル賞」を4度受賞なさっているそうです。

すごいですね!!

鉄道以外にも、駅舎、バスから家具まで、その仕事は幅広く、使う人のことを考えた

あたたかで心地よい空間デザインが魅力です。

 

 

「心地よい空間を作れば、人間はリラックスして、楽しくなり、笑顔になり、

一言しゃべりたくなり、歌いたくなる。そういう空間を作ることが、デザインの

仕事だと思います。(中略)豊かな対話というものは、精神的にも肉体的にも

心地よい環境でなければ、なかなか実現しません。そのために、素材、色、形、

使い勝手のすべてをデザインしなければなりません。それらがすべてそろったときに、

おのずと心地よさが生まれて、豊かな気持ち、対話が生まれると思います。」

(「メカライフな人々№24 (株)ドーンデザイン研究所代表 水戸岡鋭治氏」 

『日本機械学会誌』2010.3 Vol.113より抜粋)

 

 

水戸岡さんのこの言葉を理屈抜きに実感できる展示で、デザインのおもしろさ、

奥深さを改めて感じました。

また、空間の大切さということも再認識しました。

予科練平和記念館が扱うような、歴史的でありながらとても個人的な資料を

展示するうえでも、空間は大切な要素だと思っています。

その資料が持つ意味をどうやったらうまく伝えることができるのか。

資料にとっても見てくださる方にとってもいい空間はどんなものなのか。

いろいろと考えることができた今回の展示でした。

 

あそべるしかけも考えられていて、展示室内でスタンプラリーが楽しめたり、

室内を走っているミニトレインに乗ると、係のおねえさんが手を振ってくれたりします。

車内の売店が再現されている展示室では、実際にものを買ったり食べたりすることも

できます。

私がうかがったときには、5~6名のお母様方が、ジュースを飲みながら

お話の花をたくさん咲かせていらっしゃいました。

 

「水戸岡鋭治の鉄道デザイン」展は、今月30日まで開催していますので、

みなさんもどうぞ足を運んでみてくださいね。

 

水戸芸術館

http://arttowermito.or.jp/gallery/gallery02.html?id=330

 

 

さて、今日から9月。

8月半ば過ぎからは夏の終わりのさみしさを感じていましたが、

9月に入ったとたん秋への期待が強まってきました。

残暑の厳しさは変わらないのですが不思議なものです。

 

今夏、予科練平和記念館では初の試みとして、8月11日(土)と25日(土)の二日間、

夏休み中のお子さんを対象としたイベント

「ものしりおじいちゃんに聞こう!阿見の昔のはなし」を開催しました。

 

当館のブレーン、歴史調査委員さんたちが、お客様からの質問に

直接お答えするというものです。

 

 

一見、企業説明会のように見えますが、

夏休みの宿題を持ったお子さんがお話を一生懸命に聞いています。

戦争のこと、空襲のこと、戦争中の暮らしのこと。

いろんな質問をしています。

 

 

 

時にはマンツーマンでお話をします。

町内の小学生が町の歴史などを調べる「まちづくり探検隊」の隊員さんたちも

来てくれて、熱心に質問をしていました。

 

 

 

お子さん以外の方も。

ワイワイお話をするなかから新たな発見も出てきます。

 

 

 

今回お話をしてくださった歴史調査委員さんたちは、町で発行した図書『阿見と予科練』

『続・阿見と予科練』を執筆なさっており、町の歴史や戦時の歴史にとてもお詳しい方々です。

メンバーには元予科練生もいらっしゃいますので、ご参加くださったみなさんには、

普段の講演会などでは聞けないお話も聞いていただけたのではないでしょうか。

 

調査委員さんたちは、毎週水曜日に記念館に集まってお仕事をなさっています。

今回参加できなかったけど知りたいことがある、というみなさん。

よろしければ水曜日にお越しください。

4名のものしりおじいちゃんたちがいろいろと教えてくださいますよ!

現地調査ででかけていることもありますので、事前にお電話でお問い合わせ

いただくと確実です。