予科練の神様 その1

10月 23rd, 2011

みなさんこんにちは。

間もなく10月も終わり。

なんだかあっという間ですね。

みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

 

 

館内で開催中の特別展「土門拳のまなざし」展も、

10月30日(日)で終了となります。

みなさんにお目見えするのも、今日を入れてあと7日間となりました。

 

 

3ヶ月もの長い間、当たり前のようにあった展示がなくなってしまうことに

一抹の寂しさを感じている学芸員Wです。

 

 

また同時に、事故もなく展示を閉じることができそうでほっとしております。

しかし、遠足は家に帰るまでが遠足。最終日まで気を抜かずに頑張りたいと思います。

 

 

11月末からは、同じ場所で所蔵資料展を開催する予定です。

今度は明治~大正期の除隊記念品と陸軍関係の資料を展示いたしますので、

ぜひお運びください。

 

 

 

□ □ □ □ □ □ □ 

第4回所蔵資料展「重キ務メヲナシオヘテー除隊記念品展」

11月29日(火)~平成24年3月26日(日)

9:00~17:00(入場は16:30まで)

常設展のチケットでご覧いただけます

大人:500(400)円  小中高生300円(240)円

(  )内は20名以上の団体及び各種割引提携カードご提示料金

 

 

  

*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・

 

 

 

さて、先日のブログでもお伝えいたしましたが、

予科練第1期生にインタビューし、そのもようを撮影させていただきました。

1期生で現在お元気でいらっしゃるのは、伊藤さんお一人とのことで、

貴重な機会に恵まれたこと、また、私のようなものが

予科練の神様と言っても過言ではないようなすばらしい方に

お会いできて、本当にありがたく思っております。

 

 

 

1930(昭和5)年、第1期予科練習生として入隊された

伊藤 進さん。

山口県岩国市にお住まいで、現在96歳でいらっしゃいます。

ご自分で立ち上げた会社の会長さんとして、今も毎日ご出社なさっておられる

すごい方です。

 

  

おうかがいした内容は何度かにわけてこのブログでご紹介いたしますが、

今回はそのプロローグとして、伊藤さんのお宅にお邪魔したときの様子を

お話ししたいと思います。

 

 

 

*・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・*:.。.*.。.:*・☆・゜・

 

 

 

伊藤さんのお宅におうかがいしたのは10月17日(月)。

西岩国駅にほど近い、閑静な住宅街の一角にお宅がありました。

時間より早く着いてしまい、ご自宅前を怪しげにうろうろしていたカメラマンさんと私を

こころよく迎え入れてくださったのは、とっても上品な伊藤さんの奥様でした。

 

家の中から奥様に負けないぐらい張りのあるお声をかけてくださった伊藤さんは、

紺地にストライプの入った上質なスーツをお召しでした。

多分ご自分に合わせて仕立てられたのだろうと思いますが、肩のあたりもすっきりと

素敵に着こなしていらっしゃいます。

実は伊藤さん、奥様よりも20年早いお生まれだそうですが、第一印象と

お話しした感じでは、まだ6~70代と思われるほどのお若さです。

体中にエネルギーが詰まっているような、そんな印象を受けました。

 

 

お宅にお邪魔してまず驚いたのは、玄関にほこり一つ落ちていないことでした。

通していただいたリビングも同じです。

すみずみまでお掃除が行き届いていて、床はぴかぴかに

磨かれています。

そして、世界中の置物やお人形が飾られており、海外の写真や切り抜きが

壁に貼られています。

 

伊藤さんはこれまで、ご夫婦で何度も豪華客船「飛鳥Ⅱ」で世界中を旅して

いらっしゃるそうで、

行く先々で買い求めたものをたくさんお持ちだということでした。

私が名刺を差し出すと、伊藤さんは

「どの名刺がいいかなー…、じゃああなたにはこれを」

とおっしゃり、飛鳥Ⅱに乗船なさったときにおつくりになったという名刺をくださいました。

ご自身と奥様の顔写真、そして飛鳥Ⅱの雄姿が印刷されています。

 

豪華客船 飛鳥Ⅱ

http://www.ytk.co.jp/cruise/aska2_2011_2012.html?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=cruise

 

 

もう一つ驚いたのは、伊藤さんの手の爪がきれいに整えられていたことです。

さすが会長さんだけあって、たくさんの人にお会いになって名刺もお渡しになることと

思いますが、

その際に意外と目に付く爪も気を使って整えていらっしゃることに、とても感激しました。

私のほうが手入れを怠っていて、ちょっと恥ずかしいぐらいでした。

 

 

「あなたから手紙をいただいたときにね、力強い文字が書いてあるものだから

もっと年配の方だと思っていたら、お若い方で驚きました。」とおっしゃる伊藤さん。

若くはありませんが若輩者の私にも、美しい敬語でお話しくださいます。

 

知識も豊富で、時々冗談も交えながら世界中を旅した時のお話を聞かせてくださる伊藤さん。

 

一日中日が沈まない白夜をご存知ですか?

白夜の反対で、黒夜というのもあるんですよ。

ずっと太陽があがらないんです。

でも、私は白夜のほうが好きですね。

黒夜は、何にも見えなくてつまらないからね。

 

こんな風に、世界中のお話が次から次へと。

そして豪華客船に乗っている素敵な人たちのお話。

特に、コロラド大学名誉教授で日本文学者のドナルド・キーンさんと

お友達になったくだりは、お二人のウィットにとんだやりとりが目に見えるようで

とても楽しく拝聴いたしました。

 

伊藤さんは決して意見や知識を押しつけず、とてもフレンドリーにお話しくださるので、

世界中にお友達がいらっしゃるというのも納得です。

私も大ファンになりました。

 

 

さて、そんな伊藤さんからどのような予科練のお話しがうかがえたか・・・。

次回ブログをぜひお楽しみに。

 

 

 

 

座り方も威風堂々の伊藤さん。

後ろの掛け軸は、書家になられた元予科練の方から

贈られたものだそうです。