春だといふ

3月 31st, 2011

 みなさんこんにちは。

東日本大地震から、20日が経とうとしています。

毎日様々なニュースが飛び交う中、各地の復興を伝えるニュースも

少しずつ多くなってきました。

その一方で、東京電力福島第一原子力発電所では、今この時も

厳しい戦いが続けられています。

ガソリンがなくて、十分な支援が届かない避難所や地域がまだまだたくさんあり、

長引く避難生活で体長を崩される方も少なくないようです。

先の見えない不安が、長く雪を降らせる灰色の雲のように

気持ちのどこかを覆っているような感じがします。


そんな中、先日東京で桜が開花したとのニュースがありました。

3月11日以降、すっかりそうした感覚が抜け落ちてしまっていましたが、

気がつけば、確実に春がやってきていました。

みなさんも、まわりに春の訪れを感じていらっしゃるでしょうか。


予科練平和記念館に植えられた桜も、蕾が少しずつふくらんでいますが、

まだまだ冷たい風が吹いているので、しっかり重ね着をしている感じです。



みなさんに開花のニュースをお届けできるのは、もう少し

先になりそうです。



桜といえば、3月25日付け読売新聞の「編集手帳」をお読みになった方も

多いのではないでしょうか。

今回のブログでは、そこで引き合いに出されていた山村暮鳥の詩を

ご紹介したいなと思います。



「櫻」


さくらだといふ

春だといふ

一寸(ちょっと)、お待ち

どこかに 泣いている人もあらうに



山村暮鳥(やまむら ぼちょう)は、明治大正期に生きた詩人であり、

キリスト教の伝道師として東北から茨城にかけて歩いた人です。

詩の中に、あたたかく、のどかな田舎の風景を多く読み込んだ暮鳥は、

その生涯を、今度の津波で大きな被害を受けた茨城県大洗町で閉じています。

まさに今回地震の被害にあった地域を見、その足で歩いてきた暮鳥の詩の中には、

もしかしたら失われてしまったかもしれない美しい風景が

永遠に刻まれているとも言えます。


お花見自粛論の賛否にしても何にしても、感じ方は人それぞれでよいと思いますが、私

個人としては、これから桜を見るたびに、この詩を思い出すような気がします。

また、その気持ちを形にして、少しでも避難生活を続けている方に届けたいと思います。



さて、記念館の近くではこんな春の訪れも見られます。

予科練平和記念館の前の通り、旧125号線を1㌔弱東へ向ったところの風景です。




菜の花畑の奥が霞ヶ浦で、この写真には入っていませんが、

空気が澄んでいる日には、左方向に筑波山も見えます。

富士山には月見草が似合うかもしれませんが、

筑波山には菜の花が似合うような気がします。

もう少し暖かくなると、菜の花1本1本ががもっともっと大きくなって、

暮鳥のこんな詩がぴったりくるような眺めになります。



「風景」


いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

いちめんのなのはな

かすかなるむぎぶえ

いちめんのなのはな


これから桜に気持ちが向きがちですが、

お近くにお越しの際には、ぜひこの菜の花もご覧になってくださいね。

このブログでも、できる限りご紹介していきたいと思います。



明日から新しい年度がはじまります。

東日本大地震から3週間目の日でもあります。

今日よりも、少しでもよい明日になるように、毎日願っています。



予科練平和記念館は明日以降も当面の間休館となり、

みなさんには大変ご迷惑をおかけしております。

開館日程は、決まり次第館のホームページのほかお電話でもご案内いたしますので、

お手数ですがご確認いただけましたら幸いです。


お隣の陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校内の雄翔館(予科練記念館)と雄翔園は

自衛隊正門からお入りいただけます。(9:30~16:30)

詳しくは、陸上自衛隊土浦駐屯地武器学校(℡:029-887-1171)まで

お問い合わせください。