無始無終

3月 30th, 2013

みなさんこんにちは。

学芸員Wです。

予科練平和記念館のある阿見町は、今桜が満開です。

 

 

 

館の前の若い桜の木も、たくさん花を咲かせています。

この季節は、本当に独特の雰囲気がありますね。

 

先日、「ルドルフ・シェーンハイマーの動的平衡」という理論を知りました。

ルドフル・シェーンハイマー(1898-1941)は、アメリカの生化学者で、

体内に摂取した食物がどのように使われているかを、ネズミを使った実験であきらかにした人です。

そこで得られた結果から、食物は分解されてエネルギーになるのではなく、

体の再構築に使われていることがわかりました。

 

体をつくっている物質は、そのままでは古くなって壊れてしまうので、

私たちは食べ物を体の中で小さく分解して、古くなった物質と、分解して得られた

新しい物質を入れ替えることで体を維持している、と言えるのだそうです。

 

シェーンハイマーの実験では、ネズミの全身のたんぱく質の半分が、

3日で入れ替わっていたことが確認されたそうです。

いつも同じように見えますが、私たちの体は日々黙々と新しくなっていたんですね。

 

そう考えると、新鮮なものや体にいいものを食べるのが健康の基本、ということがよくわかります。

そして、あんこが好きな人はリアルアンパンマンになれるということですね。

 

今日のみなさんは、何で作られていますか?

 

 

さて、今週はいろいろなお客様がおみえになりました。

 

まずは埼玉県比企郡滑川町の議員さんたちです。

展示を熱心に見学してくださいました。

 

 

それから、青森山田高校野球部のみなさんが、遠征試合の途中に立ち寄ってくださいました。

 

 

とても礼儀正しくて、帰るときにはきちんと挨拶をしてくださいました。

予科練生たちもこんな感じだったのかな、と思いながらお見送りしました。

 

さらに、海を越えてスペインからもお客様がいらっしゃいました。

アジア系スペイン人のTARO(タロ)さん19才です。

 

 

タロさんはバルセロナ在住で、CESDA(セスダ)航空学校の学生さんです。

春休みを利用して日本にいらっしゃいました。

 

タロさんは、知人から頼まれたものを届けにわざわざきてくださったのです。

航空関係の本や資料を探しによく行くお店のリカルドさん(70代男性)が、

タロさんが日本に行くことを知ると、1枚のCD-ROMを彼に託しました。

リカルドさんが航空機のエンジンについて長年研究してきた成果をまとめて

データにしたもので、日本の航空関係者にぜひ知ってもらい、

役立ててほしいと願っているそうです。

 

私共でも、リカルドさんのご好意やタロさんのお気持ちに、少しでもお答えできる

お手伝いができたらと思っております。

 

航空機のエンジンにご興味のある方、スペイン語がおわかりになる方がいらっしゃいましたら、

ぜひ予科練平和記念館へお問合せください。

 

タロさんは現在日本語を勉強中。将来は全日空のパイロットになりたいという

夢をお持ちです。

いつの日か、タロさんの操縦する飛行機で世界中を旅することができたらすてきですね。

大空を羽ばたける未来を応援しています。

 

こちらもぜひご覧ください↓↓↓

 

セスダ航空学校

www.cesda.com

 リカルドさんのお店(現在は息子のジョルディさんがあとを継いでいます)

http://www.aeroteca.com/

 

 

先週末23日(土)に、小さなお子さま向けのよみきかせイベントを開催しました。

今回で5回目になるこの企画、新たな試みとして、記念館の近くにある霞ヶ浦高校演劇部さんと

コラボレーションしました。

元気な演劇部の生徒さん3人が、たくさんのお客様に絵本を読んでくださいました。

 

 

 

 

練習にあてる時間が少なかったにも関わらず、自分たちで絵本を選んで

一生懸命読んでくださいました。

予科練平和記念館ですばらしい朗読を聞かせてくださる、元茨城放送アナウンサーの

藤田加奈子さん直々の指導を受けたということもあって、とっても上手でした。

 

よみきかせのあとは、春のスタンプラリーです。

記念館の敷地にかくされた7つのスタンプを探しだします。

 

 

ときには丘ものぼります。

スタンプは、記念館とおとなりの公園のなかでも春を感じてもらえるようなところに置きました。

公園内には元気なお子さんたちの声でとてもにぎやかで、

両手につくしを持った女の子もいて、訪れた春を楽しんでいただけたようです。

 

霞ヶ浦高校の生徒さんたちとは、これからもいろんなイベントでご一緒していただけたらと

思っております。

 

 

今回のブログは長くなってしまいました。

最後までお目通しいただきありがとうございました。

 

私学芸員Wは、3月いっぱいで予科練平和記念館を卒業することになりました。

準備の段階から丸7年間、このお仕事をさせていただいて、本当に感謝しています。

また、元予科練生をはじめとして、すばらしい人生の先輩方からいろいろ学ぶことができました。

いたらない私にとって、たくさんの方に支えられながら毎日全力ですごした大切な7年間でした。

支えてくださったみなさん、関わってくださったみなさん、本当にありがとうございました。

Wは、4月からも町のどこかで働いております。

見かけたときには、ぜひお声をかけてください。

 

「無始無終」という言葉があります。

仏教の教えだそうですが、始まりもなければ終わりもない、その逆もまたしかりということです。

終わりはまた新たな始まりです。

常に現在にいるということかも知れません。

 

それは、シェーンハイマーの理論にも似ています。

私たちは常に新しい物質を取り込んで置き換えながら体を維持している。

私たちを作っている物質は、もとは別のものであり、私たちでなくなった物質は

また別の何かになる。

世界中の物質は絶え間なく交流し、動きながら現在をつくっているのかもしれません。

 

今を生きるたくさんのみなさんが、すばらしい毎日をすごせますように。

心から願っております。